講談社 (2005/06/15)
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社会人としての「実用書」
戦争と企業 モスレム【私の評価】★★★☆☆
■著者紹介・・・高木 徹
1965年生まれ。大学卒業後、NHKに入局。現在報道局勤務。
2000年放送のNHKスペシャル「民族浄化~ユーゴ・情報戦の内幕」
をもとに本書を執筆。講談社ノンフィクション賞・新潮ドキュメント賞
を受賞。
●旧ユーゴスラビアで勃発したボスニア紛争は、
世界各地で起きている民族間の紛争の一つでした
しかし、PR戦略により、セルビア人は極悪人、
ボスニア・ヘルツゴビナは被害者という
世論が形成されました。
ボスニア・ヘルツェゴビナ側が、
セルビア側を民族浄化という言葉を用いて非難することで
セルビア=民族浄化主義というイメージが定着したのです。
・「民族浄化」という言葉がなければ、ボスニア紛争の結末は
まったく別のものになっていたに違いない。・・・
ミロシェビッチ元大統領が、ハーグの監獄で失意の日々を
送ることもなかっただろう。(p110)
●その後、NATOのコソボ空爆から
ミロシェビッチが国際戦犯法廷で裁かれるまで
セルビア側に不利な状況が続くこととなります。
(国際戦犯法廷では、セルビア人虐殺の罪で、クロアチア人も逮捕されています)
・セルビア側は、経済制裁と、初動の遅れによって優秀な
PR企業を雇って対抗することができなくなってしまった。
もし彼らが有能なプロの助けを借りることができていれば、
たとえばモスレム側が作っていた「収容所」を発掘し、
問題を拡大してオマルスカ「強制収容所」のダメージを
相殺することもできたかもしれないのだ。(p381)
●欧米の世論を日本の味方とするために、PR会社、ロビー活動を
一抱えにしてしまえという人もいますが、
そこまでしなくても、ある程度の国家としてのPR活動は重要でしょう。
・私はタトワイラー報道官を通じて、シライジッチ外相に、
西側の主要なメディアを使って欧米の世論を味方につけることが
重要だと強調した(ベーカー長官)(p33)
●日本の周辺では、
「ザ・レイプ・オブ・南京」の書籍出版と映画化の動き、
米国連邦議会における「従軍慰安婦問題で日本政府に謝罪を求める決議案」
など、
日本の評判を落とそうとする勢力が、
活発にPR活動をしているように感じるのは私だけでしょうか。
・どんな人間であっても、その人の評判を落とすのは簡単なんです。
根拠があろうとなかろうと、悪い評判をひたすら繰り返せばよいのです。
・・・たとえ事実でなくとも、詳しい事情を知らないテレビの
視聴者や新聞の読者は信じてしまいますからね。(ハーフ)(p345)
●日本がセルビアのようにならないために、
重要な警鐘を鳴らす一冊ということで★3つとしました。
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・ハーフは、・・・いったんクロアチアと契約をかわすと、・・・
プロのPR技術を駆使してクロアチア独立戦争がいかに正当な
ものか、セルビア人がいかに汚い連中であるかを世界にアピール
していた。(p23)
・当時はまだ電子メールがない時代でしたから、ファックスが最も
効率的な方法でした・・・そのすべてに、担当者の個人名が記載され、
送ったファックスが必ず特定の誰かの目に留まるように配慮されている。
(p56)
・ワシントンは三角形でできています。その三つの頂点にあるのは、
大統領に率いられる政権、連邦議会、そしてメディアです。・・・
この中にある一つを動かしたければ、他の二つを動かせばいいのです。
(ジム・マザレラ)(p82)
・(米国では)政権が代わるごとに主要スタッフや高級官僚が
入れ替わり、優秀な人材が民間と役所を往復する、という
日本では考えられないやり方は、彼らがPRのセンスを磨く
という意味でプラスに作用しているのは間違いない。(p138)
・「セルビア人の残虐行為」の情報の中には、根拠のない、
荒唐無稽なものお多かった。・・・迫撃砲をわざと病院の
脇に設置するのです。こちらが撃てば当然敵が反撃してきて、
・・・砲弾がとなりにある病院の小児科病棟にも落ちます。・・・
国際世論をひきつけるために、自分の国民を犠牲にするやり方ですよ。
(p263)
・中国・韓国では、戦後六十年を経ていまだに日本への反感が
忘れられるどころか、逆に燃え盛っているように見える。
・・・日本の国家的なPR戦略の欠如を、一つの、しかし
大きな要因として指摘せざると得ない。(p390)
▼引用は、この本からです。
「戦争広告代理店」高木 徹、講談社(2005/06)¥650
【私の評価】★★★☆☆
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