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2008年05月05日

「反転―闇社会の守護神と呼ばれて」田中 森一、幻冬舎 :91点, 田中森一 

反転―闇社会の守護神と呼ばれて
【私の評価】★★★★★(91点) ■現在、詐欺の名目で懲役3年の実刑判決を受け、  服役中の田中元検事の一冊です。

 著者は、東京特捜部に在籍していた辣腕検事であり、
 その検事を辞めた後、弁護士として裏社会の人々を
 弁護してきました。


■田中さんの生き方にはあまり賛同できませんが、
 社会の裏と、政治家、企業家、高級官僚のつながりが、
 この一冊を読むだけで見えてきます。

 ヤクザ、政治家だけでなく検察を含めた高級官僚の名前が
 ぼろぼろ出てくるのは、
 検察組織から裏切り者として堀の中に入れられ
 失う者のない人間だからできることなのでしょう。


  ・住銀は労せずして、平和相銀の東京の店舗を手に入れ、業務を拡大・・・
   住銀と検察の関係は古く、強い。大阪で検事正が検察庁を退官して
   弁護士になるとき、住銀と読売新聞が責任を持って何十社に及ぶ
   顧問先をつける。(p178)


■この本を読んでから、
 新聞やニュースを見る気がしなくなってしまいました。

 「汚職は国を滅ぼさないが、正義は国を滅ぼす」とは言われますが、
 闇の部分も知っておく必要があるでしょう。

 日本社会の現実を直視するために必読の一冊です。
 本の評価としては、★5つとしました。

─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


  ・検察の捜査に対して「国策捜査」という呼び方をよく耳にする。
   ・・・そもそも検察の捜査の本質が、権力体制と企業社会を守護する
   ためのものだ。つまりすべて国策捜査である。(p16)


  ・無理やりストーリーをつくり、それを調書にした。・・・
   そうやって被疑者を追い込みながら、調書を取る。そのテクニックに
   最も優れているのが、東京地検や大阪地検の特捜部である。(p152)


  ・警察の捜査を受けて起訴、あるいは不起訴などを決定するのが、
   検察庁の役割である。・・・検事は、警察の捜査段階から刑事たちの
   相談を受ける。・・・いわば検事は、事件における捜査の指揮官の
   ような存在である。・・・だから、地方に赴任すると、大きな顔が
   できるのである。(p77)


  ・たとえば、本部長や大阪の中心地の警察署長が転勤するときには、
   当時で2000万円から3000万円の選別が
   地元の有力業者から贈られる。(p129)


  ・ヤクザは、その大半が、同和部落出身者かあるいは在日韓国・朝鮮人
   だといわれる。そういう差別された人たちが数多く住む大阪は、
   自然とヤクザが幅を利かす。彼らは、行政や経済に深く食い込み、
   事件の裏で暗躍してきた。(p133)


  ・会津小鉄会では、京都府の同和対策事業の工事費用をピンハネ
   していた。建設会社の受注金額の三パーセントを抜くことが、
   半ば習慣化されていた。そうしたカネがなければ、あれだけの
   大組織を維持できないのだろう。(p260)


▼引用は、この本からです。

反転―闇社会の守護神と呼ばれて
田中 森一
幻冬舎
売り上げランキング: 92
おすすめ度の平均: 4.5
5 考えさせられる本
3 バブル紳士たちの横顔
5 いわゆる国策捜査を表と裏から読み解く
5 虐げられた者への共感を基底に持つ作者のハードボイルド世界
5 「裏社会」と「表社会」は密接だった!

【私の評価】★★★★★(91点)


■著者紹介・・・田中 森一(たなか もりかず

 1943年生まれ。岡山大学在学中に司法試験に合格。
 1971年検事任官。大阪地検を経て、東京地検特捜部。
 撚糸工業組合連合会汚職、平和相互銀行不正融資事件などを担当。
 辣腕検事として名を上げ、1988年退官、弁護士事務所開設。
 2000年石橋産業事件をめぐる詐欺容疑で東京地検に起訴され、
 2008年2月上告棄却、懲役3年が確定する。

─────────────────

■関連書評■
a. 「国家の罠」佐藤 優、新潮社
【私の評価】★★★★★

b. 「警察裏物語」北芝 健、バジリコ
【私の評価】★★★★☆


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2008年02月21日

「小泉官邸秘録」飯島 勲、日本経済新聞社 :94点, 飯島勲 

小泉官邸秘録
【私の評価】★★★★★(94点)


■小泉劇場、刺客、丸投げ・・・
 多くの名言を残した小泉元首相。
 その秘書官から小泉政治の裏側を解説した一冊です。


■こうして読んでみると、
 小泉改革の内容は、当たり前のことを
 当たり前にするということであったと思います。

 例えば、予算編成は財務省が行なうのではなく
 首相の方針の下に編成されるのが当然でしょう。

 ・諮問会議の「骨太の方針」は、この「概算要求基準」に先立って
  決定される。・・・重要なことは総理自身が主導し議長を務める諮問会議で
  決定し、それに従った予算編成を財務省が行なっていく、という、
  考えてみれば当たり前の仕組み、ルールを作ったのである。
  これは言ってしまえば簡単だが、霞が関(とそれにつながっている
  族議員や業界)にとっては驚天動地の大事だったのである。(p23)


■小泉改革がうまくいったのは、
 問題点を正しく把握していただけでなく、
 その対応策があり、そして、その対応策を実現するための
 諮問会議、人事などの方法論があったことだと感じました。


 ・昼は主に新聞を念頭に置いたカメラなしのぶら下がり取材とし、
  夕方はテレビで映像が流れることを念頭に置いたカメラ入りの
  ぶら下がり取材とした(p34)


■そして、最後は首相の命をかけた信念です。

 ・医療制度改革・・・先送りにしたいというのが党の強硬派の固い主張
  のようであったが、総理は「三割は断固やるぞ。下でどんな議論に
  なろうと最後は自分のところできちんとやるから」と言って全く
  揺らぐことはなかった。(p91)


■一瞬、政治家になりたくなってしまった一冊でした。

 しかし、当たり前のことを当たり前にすることが
 これほどの困難を伴う国家に未来はあるのだろうか?
 と疑問を持ちました。

 テレビではこうした内容が伝わらないことを不思議に思いながら、
 ★5つとします。

─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・ときどき大臣が役所の人事に口出しをして大騒ぎになる、という話が
  新聞を賑わすことがある・・・大臣であっても長年の霞が関の人事慣行
  に口を出すことそれ自体が官僚機構の反発を招くのである。・・・
  総理は・・・昔から官僚機構が自らの組織利害のために人事や組織を
  壟断することを非常に嫌い、常に厳しい態度で臨んでいた。(p26)


 ・モンゴルやウズベキスタン、カザフスタンなど、総理就任直後から
  行きたいと思っていた国でも、結局訪問したのは退任直前の
  2006年夏である。(p38)


 ・「切られるところは反発するぞ。でもその方がいいんだ、反発がある
  方が分かりやすい。中曽根さんがそう言っていたよ」とも語っていた。
  (p59)


 ・特殊法人なんてひどいもんだ。隠れ借金の塊だ。
  こういうことをみんなに分かるようにしないといけないんだ。
  そうしたら深刻さが分かるぞ(p62)


 ・「無駄な部門を五兆円削って必要な部門に二兆円回す。
  これで三兆円を削減する。後の細かい手順・内容は君たちで
  考えてくれ」。翌日官邸に来た財務省の幹部に、総理はそう言い渡した。
  大げさではなく、予算編成の主導権が財務省から官邸に移った歴史的
  瞬間だ、と私は思った。(p67)


 ・防衛庁には、いわゆる背広組の内局と征服組の陸・海・空の自衛隊
  という異なる組織原理を有する複数のグループが存在し、なかなか
  考え方が一致しない。そのため、お互いに自分に有利な情報をリーク
  しようとする傾向がある。(p129)


 ・郵政民営化準備室の室長は、大事な人事だった。誰にするかによって
  作業が滞る可能性もある。総理の意図をよく理解している人物で、
  行政経験にも長け、中立的にてきぱきと整理していく人物でなれば
  ならない。また、各省の事務方に対し重みを感じさせる人物でなければ
  ならない。(p239)


▼引用は、この本からです。

小泉官邸秘録
小泉官邸秘録
posted with amazlet on 08.03.01
飯島 勲
日本経済新聞社 (2006/12)
売り上げランキング: 2505
おすすめ度の平均: 4.0
2 本当の秘録かと思ったが
2 まずいことは墓場までもっていくんだよね、多分
1 小泉政治を意味づける巧妙な仕掛けとしての一冊

【私の評価】★★★★★(94点)


■著者紹介・・・飯島 勲(いいじま いさお)

 1945年生まれ。小泉純一郎の初当選から議員秘書。
 小泉の内閣総理大臣在任中は、内閣総理大臣秘書官。

─────────────────

■関連書評■
a. 「構造改革の真実」竹中 平蔵、日本経済新聞社
【私の評価】★★★☆☆

b. 「国家の罠」佐藤 優、新潮社
【私の評価】★★★★★


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2007年11月05日

「夢の百姓「正しい野菜づくり」で大儲けした男」 :96点, 横森正樹 

夢の百姓―「正しい野菜づくり」で大儲けした男
【私の評価】★★★★★(96点)


■横森さんは、農家に生まれ、若くしてアメリカで大規模農業の研修を受け、
 その後しばらく電気部品を作っていた変わり者です。

 ちょうどオイルショックで仕事が減ったのを機会に、
 やりたかった農業を始めました。


■昔ながらの、牛糞、稲わら、落ち葉の堆肥を使い、
 木酢液、蠣殻(かきがら)、木炭などの資材を使って
 「土づくり」に力を入れています。

 手間を嫌って、化学肥料を多く使うと、
 栄養のバランスが崩れ、硬い土になってしまうそうです。

 ・「栄養が吸収できる状態」の土とはどんなものかというと、
  実は、土壌微生物がたくさん繁殖し、活発に活動できるような
  状態のことなのである。(p28)


■農業のコツは、こうした「土づくり」に加え、
 商売としての努力が必要です。

 横森さんは、仕事の合間に卸売市場に足を運び、
 流通と販売店の情報を集め、市場が求める
 安く安全な野菜を作る努力をしています。

 ・農業経営に最も大事なポイントは次の四つではないかと思う。
  1 土づくりに投資する。
  2 販売の努力をする。
  3 企業的感覚を養う。
  4 コスト削減の限界まで取り組む。(p173)


■こうした努力で、スーパーとの直接取引、
 ブランド野菜の出荷を始めますが、
 やはり壁となるのが「農協」です。

 すでに「農協」は農家のためにというよりは、
 現状の組織を維持するために活動しているのが、
 実体というのです。

 ・スーパーとの直接取引も始まった。・・・農協の職員に「末端では
  差別化販売を求めている。農協も品質によって価格を別にするなど、
  臨機応変な対応をしていくべきではないか」と提案した。ところが、
  農協の返事はたったひと言-「組織を乱すことになるのでやるつもりは
  ない」だった。(p127)


■「農協」も「農水省」も期待できない。そうしたなかで、
 横森さんは、「農協」にかわる農家を支援する組織として、
 「信州がんこ村」という会社を作ったのです。

 役所と農協には、これ以上、民間の努力を邪魔しないでほしいと
 と感じました。

 横森さんの農業への思いに圧倒されました。
 ★5つとします。

─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・大根が一本100円だとすると、農家の手取りは30円しかない。
  残りの70円は、流通業者の利益、そして物流経費や梱包に必要な
  資材費用に消えてしまっている。(p39)


 ・農協は、農家を完全に見捨てている。・・・多くの農協は、
  農家の指導や農産物の販売といった「営農」には全く力を
  入れていない。やっていることは「共済」や「金融」。
  そして最近では、「葬祭事業」。(p190)


 ・国の農業政策もひどい。こんな例がある。私の近くの川上村で、
  国の補助金で個々の堆肥場がつくられた。このような施設は常に
  利用されているわけではないので、空いている冬に農業機械が置かれた。
  すると会計検査院の監査で、本来の目的以外に使われているという理由で、
  問題になったのである。この話は、いかに税金の有効利用が妨げられている
  かを示すよい例である。(p239)


▼引用は、この本からです。

夢の百姓―「正しい野菜づくり」で大儲けした男
横森 正樹
白日社 (2002/04)
売り上げランキング: 131
おすすめ度の平均: 4.5
5 手を取り合って
5 豊富な経験にもとづく農業経営物語
5 優れたビジネス本!

【私の評価】★★★★★(96点)


■著者紹介・・・横森 正樹

 1940年生まれ。63年から65年までアメリカで農業研修。
 67年に結婚。電気部品を製造する。
 農業への思いやみがたく75年に専業農家となる。
 現在、「土づくり」を基本とした農業を展開し、
 研修生の受け入れなど農家の育成に尽力。

─────────────────

■関連書評■
a. 「食品の裏側」安倍 司、東洋経済新報社
【私の評価】★★★★★

b. 「ニンジンから宇宙へ」赤峰 勝人、なずな出版部
【私の評価】★★★★☆


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2007年07月11日

「日本軍のインテリジェンス」 :93点, 小谷賢 

日本軍のインテリジェンス」小谷 賢、講談社(2007/04)¥1,680
【私の評価】★★★★★(93点)


■著者紹介・・・小谷 賢(こたに けん)

 1973年生まれ。
 大学卒業後、ロンドン大学キングス・カレッジ大学院修士課程修了。
 京都大学大学院博士課程修了。
 防衛省防衛研究所戦史部教官。
 専門はイギリス政治外交史、インテリジェンス研究。


─────────────────

●これは、本ではなく、論文です。
 史実を調査し、日本の諜報のあるべき姿を提言しています。

 著者は、日本における諜報組織の弱さを過去にさかのぼって明らかにし、
 現在の日本が取るべき対策を提示しています。

 この本の内容こそが、日本が諸外国に知られてはならない
 最大の秘密ではないかと赤面しました。

 ・情報部の地位の低さというのも日本特有のものである。・・・英米、
  特にイギリスでは・・・優秀な人材がインテリジェンスに集まる・・・
  戦前の日本では・・・作戦部に優秀な人材が集められた(p207)


●日本の欠点は、情報部の地位が低いこと。
 さらに、情報を戦略的に考え、政策に反映する
 組織、仕組みとなっていないことです。

 日本では、実務者レベルが政策を作成し、
 各部署を調整して決定するというプロセスですが、
 その中で情報に基づく客観的な判断は埋もれていくのです。

 ・陸軍内の政策決定過程だけでも、まず課長級が中心となって部内の意見を
  取りまとめ、そこから参謀本部作戦部長、陸軍省軍務局長、陸軍省次官、
  参謀本部次長、陸軍大臣、参謀本部総長の決裁を経て陸軍の試案が生み
  出される。・・・その結果・・・情報に基づいた合理的な案ではなく、
  各組織の「合意」を形成できるような玉虫色の案と・・・(p182)


●また、情報部門の予算の少なさ、人員の少なさも問題です。

 これは、昔も今もあまり変わりはないようです。

【昔】
 ・優秀なエージェントを雇うための条件の一つは十分な報酬であったが、
  各特務機関はそこまでの潤沢な資金を手にしていなかった。例えば、
  憲兵隊に逮捕されたソ連側スパイは、当時最高級のライカのカメラと
  現金5000円(現在約400万円)を持っていたというが、日本側
  では一人のスパイにそこまで金をかけることができなかった。(p52)

【今】
 ・現在日本のインテリジェンス・コミュニティー全体で使われる予算は
  推定で1000億円以内と考えられる。アメリカの・・・予算が年間
  3兆円強、イギリスが3000億円程度と言われるのに比べると、
  いかに細々と行われているかがわかるであろう。(p206)


●著者の提案は、情報と分析を行う独立組織の設立です。

 実行部隊とは別に、情報組織をつくることで、
 客観的な情報収集・分析ができるようになるわけです。

 ・行動しようとする人間が情報を扱い出すと、手段と目的が入り混じるために
  客観的な情勢判断が難しくなってしまう現象である。これに対する処方箋と
  して・・・「実行するスタッフと調査するスタッフをできる限り厳密に分離
  しておくしかない(p195)


●本として評価するのは難しい本でした。
 国家のあるべき姿を考えたい方にお薦めします。

 日本の情報組織のあるべき姿を提言するものとして、
 ★5つとしました。


─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・ハルは米側の通信情報(マジック)によって、日本との交渉決裂が
  戦争を意味することをすでに知っていたため、妥協的な暫定協定案を
  用意していた。・・・中国にとっては日米間の妥協成立は好ましくなかった。
  ・・・ロンドンの中国大使館はUPに(暫定協定案の)情報を漏らしてしまった
  ・・・ハルは一夜の内に考えを変え、26日には強硬なハル・ノートを日本側に
  提示することになった。(p186)


 ・1941年9月、陸軍省軍務課の戦争経済研究班も、対米戦の見通しに
  ついて、日本の生産能力は限界に近く・・・米英の生産力は上昇を続ける。
  ・・・持久戦には堪えがたい、という主旨の報告を行っている。杉山元参謀総長は
  報告の調査は完璧で議論の余地はないが、研究班の結論は国策に
  反するとして報告書の焼却を命じた(p192)


 ・奇襲攻撃が成功した後に海軍が頼りにしたのは、アメリカの世論が厭戦
  気分に支配されることと、ドイツの欧州制覇であった。・・・まったく
  逆であった・・・米世論に対するプロパガンダ工作も、ドイツ軍に対する
  客観的な研究の実施も不十分なままであった。(p167)


▼引用は、この本からです。

日本軍のインテリジェンス なぜ情報が活かされないのか
小谷 賢
講談社 (2007/04/11)
売り上げランキング: 697
おすすめ度の平均: 4.5
5 現代的視点から評価した日本軍の「情報感度」
4 若手情報分野研究者に期待
5 歴史に学ぶ姿勢

【私の評価】★★★★★(93点)


■関連書評■
a. 「CIAは何をしていた?」ロバート・ベア
【私の評価】★★★☆☆

b. 「戦争広告代理店」高木 徹、講談社
【私の評価】★★★☆☆

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2006年05月18日

「台湾人と日本精神」蔡 焜燦、小学館 :91点, 蔡焜燦 

台湾人と日本精神(リップンチェンシン)―日本人よ胸をはりなさい
蔡 焜燦
小学館 (2001/08)
売り上げランキング: 3,249
おすすめ度の平均: 4.78
5 かつて日本はこんなにも美しかったのか。
5 この本を読み終えて…
5 日台関係の歴史の基礎となるべき本
【私の評価】 ★★★★★:絶対お薦めです!家宝となるでしょう(91点)


■著者紹介・・・蔡 焜燦

 1927年台湾生まれ。台中州立彰化商業学校卒業。
 45年岐阜陸軍整備学校奈良教育隊入校。
 終戦後、台湾で体育教師となるが、後に起業。
 現在、半導体デザイン会社「偉詮電子」会長。


●私はこの本を読んで、ドラえもんをイメージしました。

 のび太は、スネ夫とジャイアンにいじめられます。
 「50年前、お前のおじいさんと親父に、家族がいじめられたんだ
  謝れ!金よこせ!謝り方がなってない!」

 そこにドラえもんがやってきて、のび太に言うのです。

 「確かに50年前、のび太の家族は、ジャイアンの家を所有していた。
  そして確かにジャイアンの家族を差別したところはあった。
  でも、お金を使って、家を修理したり、奨学金を出して良いこともしたんだよ。
  他の家では、そこに住む人からお金を取れるだけ取る所有者もいたんだ」

 それまで、そんなことを言われたことのなかったのび太は号泣するのです・・・


●著者は、台湾で日本の教育を受け、日本人として戦争を戦った
 世代です。

 著者によれば、確かに日本人と現地人の差別はあったようです。


●しかし、それ以上に、他の欧米諸国とは違い、搾取する対象としてではなく、
 あくまでも日本国の一部と考え、日本と同じレベルまで引き揚げるため多くの
 投資を行ったのは事実のようです。

 ・台湾の上下水道はこの時代に整備され、その結果、世界有数の
  伝染病根源地だった台湾から、マラリア、ペストをはじめ、
  あらゆる伝染病が消えていった。(p58)


●日本が引き揚げてからの台湾には、
 中華民国政府がやってきましたが、
 その人間性の低さにはひどいものがありました。

 ・中華民国政府による台湾統治が全島にゆき届きはじめ、それと
  同時に役人や警察がその権力を傘に威張り散らし、日本統治時代
  には考えられなかった不正がはびこり、賄賂が横行しはじめて
  いた。(p152)


●著者は、体育教師であったこともあり、
 賄賂により成績も、進級もどうにでもなる中国人の思考に
 ガマンがならなかったようです。

 ・中国の教育というのは“商売”でしかなかった。彼らは、
  生徒を進級させるにも、よい成績を取らせるためにも、あらゆる
  場面で父兄に賄賂を要求し、教育など二の次だったのである。
  “雲泥の差”とはまさしくこのことをいうのだろう。(p83)


●さらには、虐殺も発生しており、中国人の支配する国家では、
 そのようなことが普通に起こることに私は恐怖を覚えました。

 ・蒋介石はためらわなかった。彼は、「格殺無論(皆殺しだ)・・・と
  返電した。・・・陳儀は「清郷工作」を断行する。・・・意志、弁護士、
  学者、教師などの知識層が無実のまま次々と逮捕され、そして裁判もなく
  虫けらのように処刑されていったのである。(p178)


●台湾においても中華民国政府は反日教育を行っていましたが、
 著者のように「それは間違っている」と主張してくれる人が
 いるからこそ、台湾では親日家が多いのでしょう。

 ・私は、台湾にやってくる日本人に説く。
  「自分の国を愛しなさい」と。
  自分の国をも愛せない人が、どうして他人や他の国の人々を
  愛せるだろうか。(p261)


●今、ジャイアンは、ドラえもんの家は自分のものであると
 主張しています。

 また、「反国家分裂法」という武力で、
 ドラえもんの家を奪うことのできる法律も作りました。

 台湾の次は日本か・・・、と恐ろしく思うのは私だけでしょうか。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・日本統治時代の輝かしい業績でも、とりわけ私が評価したいのは
  「教育」である。(p80)


 ・台湾では、いまでも「日本精神」=リップンチェンシンという
  言葉が、「勤勉で正直で約束を守る」という褒め言葉として
  使われている。まさしくそれは日本統治時代の教育の成果である。
  (p86)


 ・現代の日本人は、日本がかつて植民地で皇民化教育を行っていた
  ことを非難するが、それは、「内地でやっていた教育を、同じ
  日本領土である台湾でもやっていた」だけのことだと私は納得
  している。(p93)


 ・中国人は、なにをするにも現金を要求し、現金を差し出さなければ
  動こうとはしない。これを日本人と中国人の国民性の違いと片付ける
  にはあまりに大きな格差である。否、これこそが、「近代国家」と
  「前近代国家」の違いだったのだろう。(p165)


 ・人々は、「犬(日本人)が去って豚(中国人)来たり」と吐いた。
  犬はうるさいが守ってくれる、しかし豚は働かずにただむさぼる
  だけだという喩えだ(p167)


台湾人と日本精神(リップンチェンシン)―日本人よ胸をはりなさい
」蔡 焜燦、小学館(2001/9)¥650
【私の評価】 ★★★★★:絶対お薦めです!家宝となるでしょう(91点)


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2005年10月24日

「りんごは赤じゃない」山本 美芽、新潮社(2005/06) ¥500 :91点, 山本美芽 

りんごは赤じゃない―正しいプライドの育て方
山本 美芽
新潮社 (2005/06)
売り上げランキング: 5,002
おすすめ度の平均: 4.8
5 かつて生徒だった全ての大人たちへ
5 地道な実践の記録
5 新任教師に差し上げたいものです。
「りんごは赤じゃない」山本 美芽、新潮社(2005/06) ¥500 (私の評価:★★★★★:絶対お薦めです!家宝となるでしょう)91点 (Amazon: http://mo-v.jp/?2152 )←(Amazonでの評価)


●著者紹介・・・山本 美芽(やまもと みめ)

 1971年生まれ。大学卒業後、中学校の臨時教諭、養護学校教諭を
 経て、執筆活動を始める。現在は主に音楽雑誌に寄稿している。


●かつて神奈川県の中学校に、美術のコンクールで入賞者を大量
 排出した太田さんという教師がいました。


●しかも、生徒が荒れているような中学校でしたが、美術の授業だけは、
 生徒が姿勢を正して集中して授業を受けていたそうです。

 ・太田は「ふざけ半分」の態度を、絶対に許さない。そのような態度が
  見られるあいだは、授業をしないし、大事なことも話さない。(p24)


●授業では、草をスケッチするならば、外に出てよく観察させる。
 「草の気持ちになってみて」とアドバイスする。
 そうした授業の中から、子どもは草と対話をして、考えていったそうです。

 ・草が一本一本すべて違うように、人間もひとりひとり違っている。
  みんなだってそうだよね。違うことって、なんて
  すばらしいんだろうね。(p41)


●また、美術なのに「調査研究」を取り入れていました。
 ・・・すばらしい。

 ・何を調べなさい、どこまで調べなさい、先生はそういうことをいっさい
  言いません。それはあなたたちが自己決断することなの。自分が必要
  だと思ったところで決断するのよ。・・・「調査研究」(p57)


●しかし、太田さんは2001年に退職し、教育システムの外に道を求めました。

 ・コンクールといった、目に見える形で優れた指導力を残しても、
  教師社会の中で評価してもらえることはなかったのだ。太田は、
  次第に教師社会に絶望感を感じるようになっていた。(p192)


●そういえば社会人校長で、すぐに自殺なさった人もいましたね。

 良いものが淘汰され、外にはじきだされるのであれば、
 教育は学校の外に求めるしかないのかもしれません。


●教育議論は別にして、私も教わりたかったなとおもう美術の授業の
 秘密が書かれた本として★5つとしました。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・「あなたたちには心がありますね。それと同じように、先生にも、美術室
  にも、心がある。それなのに、その態度は・・・!あなたたちは、美術
  室で待っている先生の心を踏みにじったんですよ」(p19)


 ・生徒がいい加減な態度を見せたときに教師が「だめ、やり直し」と
  命じるのは、よくあることだ。しかし太田はそんなとき「だめ」では
  なく「イヤだ」という。(p22)


 ・二学期、三学期になっても、太田はいつも授業の前には
  顔写真入りの名簿を確認して、子どもの顔と名前がスラスラ
  出てくるように努力する。(p181)


 ・太田は、美術でプロセスに没頭する体験をさせて、結果だけを
  追い求めていては決して到達できない領域まで、
  生徒を踏み込ませるのだ。(p144)


りんごは赤じゃない」山本 美芽、新潮社(2005/06) ¥500
(私の評価:★★★★★:絶対お薦めです!家宝となるでしょう)91点


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2005年08月04日

「梅干と日本刀」樋口 清之、祥伝社 :90点, 樋口清之 

完本 梅干と日本刀―日本人の知恵と独創の歴史
樋口 清之
祥伝社 (2000/02)
売り上げランキング: 3,188
おすすめ度の平均: 4.5
5 楽しめる国学論。
4 学校の教材にぜひ!
(私の評価:★★★★★:絶対お薦めです!家宝となるでしょう)90点


●著者紹介・・・樋口 清之

 1909年生まれ。1997年逝去。登呂遺跡発掘などを手がけた考古学者。


●日本の良さ、日本人の特徴、日本人の気質を、考古学の権威(故人)
 である著者が、教えてくれる一冊です。

 ・村八分という文字の示すとおり、この断絶は、“八分”であって、・・
  ・八分は断絶するが、二分の交際は残すという意味なのだ。その二分は
   “葬式”と“火事”である。つまり絶縁はしても、悲しい出来事だけ
  は、分かち合おうというのが村八分なのだ。(p219)


●これ一冊で、三冊分をまとめたものですので、読み応えがあります。
 私で四日間かかりました。

 ・日本の芸道から学ぶべきは、技術ではなく、技術を通して、その裏に
  ある“精神”、自然から学べる静かな心や精神状態、人間との関係を
  スムーズに深くしていく心なのである。(p207)


●39年間、日本人として生きてきた私でさえ、「へー、そうなんだ」と思う
 ところが、いくつもあります。本来なら、このような本を学校の教科書と
 して使うべきものなのかもしれません。

 ・五節句の飲み物や食べ物は、すべて薬品である。・・・私たちの祖先は、
  薬品を食品化することで、まず日常の食餌療法をやり、さらに労働
  スケジュールに合わせて、その時期にいちばん必要な薬物を年中行事化
  することで、魔除けや信仰として摂取し、健康体を維持できるように、
  実に巧妙といっていい、健康管理を行っていたのである。(p130)


●日本の心を学び直す最適の一冊ということで、文句なく★5つです。

 ・私たちの祖先の知恵というものは、一見、不合理に見えながら、実は
  合理的であるという「不合理の合理」に満ちている。ただ、私たちに
  はその知恵が不合理という壁にさえぎられて、その中の合理性が見えない
  場合が多いのである。(p61)


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・今日では、農機具、農薬の発達や食料輸入で、一挙に一億になった。もし、
  西洋文明の刺激と食料輸入がないと、おそらく今日の日本で、もっとも
  適量な人口は、五、六千万人であろう。(p75)


 ・西洋の靴は、北方系の遊牧民族だったゲルマン民族が、ヨーロッパを征服
  したときに、同時にもたらしたもので、それ以前のローマ、ギリシャには
  ない。洋靴は通気性よりも保温性を重視したもので、寒い風土の生んだもの
  である。日本のような湿気の多い風土には合わないのである。(p96)


 ・日本へ来ると、原産地のものより必ず大きくなっている。・・・白菜は、
  元は山東白菜といって、中国の山東省の産で、何本かを束にして店先に
  並べる程度の大きさのものである。中国人が来て、日本の白菜を見て、
  “化けものになっている”と驚いたという話があるが、実際、日本人は、
  何でも大きくしてしまうのが本当に好きだ(p176)


 ・江戸の市民は朝起きると、まず自分の家の前を掃く。別にそういう
  法律的な義務があったのではない。隣り付き合いとして、その町の
  住人として、自分の町を大切にしているという、連帯感を確認する
  自発的な行為である。(p263)


 ・五人組の連坐制の中で、罪科は分散されるために重くはないが、とくに
  厳しい連坐制を実行されたものに幼児犯罪がある。子どもの犯罪である。
  ・・・子どもはしたがって一組の夫婦の子どもというより、町の子ども
  という意識が強かった。いたずらがすぎると、他人の家の子どもでも、
  厳しく叱る。(p335)


 ・レンガ造りの家屋は、できないから、やらなかったのではなく、長い
  歴史の過程で、適性のない栽培品種を捨てたように、捨てたものなの
  である。・・・日本人は・・・木材を建築材として選択したのである。
  (p408)


 ・日本人はよく、「よそに出しても恥ずかしくない子に育てる」という言い方
  をする。西欧人は「よそに出しても自立して生きていける子に育てる」という
  言い方をする。・・・前者の場合は、他の人々に認められる「人格」が重視
  されているし、後者の場合は、他の人々に認められる「能力」が樹脂されていると
  いっていいだろう。


 ・手描き友禅などは、署名もないから、誰がつくったかわからない。だが、
  わからないからゆるがせにするのではなくて、わかるわからないにかか
  わらず、自分の心が満足できなければ気が済まないのである。そういう
  名利への欲望を越えたところで染色したからこそ、手描き友禅にはすぐ
  れた技術が成長したのだろう。(p602)


「梅干と日本刀」樋口 清之、祥伝社(2000/02)¥900
(私の評価:★★★★★:絶対お薦めです!家宝となるでしょう)90点


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2005年07月19日

「国家の罠」佐藤 優、新潮社(2005/03)¥1,680 :91点, 佐藤優 

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて
佐藤 優
新潮社 (2005/03/26)
売り上げランキング: 733
おすすめ度の平均: 4.75
5 何が真実であるのか?
5 途中での感想ですが
5 こういう才能を無駄にしてはいけない
(評価:★★★★★)91点


●この世の中には完全なる正義、完全なる悪というものはありません。
 同じ事象も、ある立場からみれば正義、ある立場から見れば悪という
 側面を持っています。


●そうした視点で、一時期、新聞を騒がせた鈴木宗男と田中眞紀子と外務省
 の戦い、それから波及したようなムネオハウスがらみでの鈴木宗男の逮捕
 を考えるためには、逮捕された外務省佐藤優氏が書いた本書は最適の一冊
 でしょう。

 ・「この事件は横領でも背任でもどっちでもいける。こっちが背任にした
  のは、カネに触っていない東郷を捕まえるためだった。あんたと前島だけ
  ならば横領でよかったんだ。・・・これは鈴木宗男を狙った国策捜査
  だからな。だからあんたと東郷を捕まえる必要があった。(p233)


●この本を読んで驚くのは、マスコミで報道される鈴木宗男氏と著者の
 イメージと、本書で描かれる両氏のイメージの格差です。私は、著者の
 佐藤優氏は人生をかけても筋を通す、かなり優秀な人であると感じました。

 ・「一般国民の目線で判断するならば、それは結局、ワイドショーと週刊誌
  の論調で事件ができていくことになるよ」「そういうことなんだと思う。
  それが今の日本の現実なんだよ」「それじゃ外交はできない。ましてや
  日本のために特殊事情を活用することなどできやしない」「そういうこと
  はできない国なんだよ。日本は。あなたはやりすぎたんだ。(p288)


●検察が考えるように、国策捜査で捕まる人たちは皆さんたいへん能力が
 あるので、検察に協力して前面自供し、早期に社会復帰してもらわなけれ
 ばならないというのに説得力があるのが悲しいのですが、それが日本の
 現実なのでしょう。

 ・「下手に偽計業務妨害だけが部分無罪になったりすると、こっち(検察)
  は組織の面子に賭けて上にあげるぜ。時間が数年無駄になる。呑み込ん
  じゃった方が全て速く終わるぜ」正直言って、長期裁判は嫌だ。ここで
  呑み込んでしまいたくなった。しかし、ここは筋を通さなくては一生後悔
  することになると思った。(p332)


●見せしめ裁判というものは、社会の規律を正しくするという意味で大事な
 ものなのでしょう。ただ、それが権力闘争の結果であったり、一時の世論
 に沿ったものであるだけでなく、より一段高い視点からも考えるべきもの
 だと思います。


●それは見せしめ裁判というものが、個人個人に与える影響だけでなく、
 組織に影響し、最終的には社会全体に影響するからです。水が澄めば
 見た目はきれいではありますが、逆に魚が住まなくなってしまう
 ようなことがあれば、それは本末転倒ということでしょう。


●とはいえ、事件の両面を見るという視点だけでなく、日本の政治・
 外交のあり方、そして日本の現実を考える良書と判断し★5つと
 しました。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・モスクワで親しくしていたソ連時代の政治犯のことばを思い出す。
  「強い者の方から与えられる恩恵を受けることは構わない。しかし、自分
  より強い者に対してお願いをしてはダメだ。そんなことをすると内側から
  自分が崩れる。矯正収容所生活とは結局のところ自分との戦いなんだよ」
  (p13)


 ・田中さんは『世の中には、家族、使用人と敵しかいない』と公言している
  んだけど、君や東郷に対する目つきは敵に対する目つきだ(外務省幹部)
  (p52)


 ・「いや、俺たち外務省員のプライドが大切なのだ。田中大臣なんかに負けて
  られない」(野上)「その点について私は意見が違います。プライドは人の
  目を曇らせます。基準は国益です。」(p99)


 ・田中女史の、鈴木宗男氏、東郷氏、私に対する敵愾心から、まず「地政学
  論」が葬り去られた。それにより「ロシアスクール」が幹部から排除され
  た。次に田中女史の失脚により、「アジア主義」が後退した。「チャイナ
  スクール」の影響力も限定的になった。そして、「親米主義」が唯一の
  路線として残った。(p118)


 ・外務省が私の報償費(機密費)に関する領収書を全て任意提出したという
  ことを伝え、その一部を私に提示した。私の情報源の名前も記載されてい
  た。外務省が「門外不出にする」といった書類が検察に渡されたことは、
  私にとって大きなショックだった。(p245)


 ・外国公務員への贈賄に関するこの法律が、法実務的観点から欠陥がある
  ことと、このニュースが表に出て、三井物産の清水社長が引責辞職した
  ので、うち(検察)の上の方には『もうこれでいいじゃないか』という
  感じもあって、ああいう線引きになったんだよ(p344)


 ・「何で丸紅は見逃されているの」「僕たちも丸紅は三井から五千万円も
  もらってけしからんと怒っている。しかし、国策捜査だから鈴木さんと
  関係のある三井物産だけがやられて丸紅はおとがめなしなんだ」(p344)


「国家の罠」佐藤 優、新潮社(2005/03)¥1,680
(評価:★★★★★)91点


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2005年02月21日

「福の神になった少年」丘修三、佼成出版社(1997/01)¥1,835 :90点, 丘修三 

福の神になった少年―仙台四郎の物語
丘 修三 村上 豊
佼成出版社 (1997/01)
おすすめ度の平均: 4.8
5 泣けた、笑えた、いっき最後まで読んでしまった^^;
5 『「福の神になった少年」by丘修三』にありがとさんきゅっ♪v(*'-^*)^☆
5 ■純愛ブームの次にくるものは…
(評価:★★★★★)90点


●仙台の町を歩いていると、だいたいの商店には少年の写真が飾ってあり
 ます。そのニターッと笑った粗末な少年が仙台四郎です。


●四郎は、明治初期に仙台の町に生きた実在の人物です。単に知恵の
 遅れた子どもだったようで、四郎バカ、しろばかと呼ばれていました。


●しかし、知恵遅れの四郎の周りに不思議なことが起こります。興味本位
 でお店の前をほうきではいたり、水をまいたりしているうちに、四郎を
 歓迎してくれる店は繁盛し、そうでない店は潰れていくのです。

 ・このしろばかがよくいく店はよ、みんな繁盛してるでねえの。
  (p47)


●四郎には知恵はありませんでしたが、素直な心がありました。雰囲気の
 よい店と悪い店がわかったのでしょう。
 
 ・四郎は自分をかんげいしてくれる店とそうでない店を、直感的に
  見分けるようになった。(p21)


●この素直な心というものは、だれでも持っているものです。ただ、
 成功とか幸せとかを考える頭のなかの自分がその存在を見えない
 ようにしているだけなのです。


●この本を読んでいて、相田みつをの言葉を思い出しました。
 

  花には人間のような
  かけひきがないからいい

  ただ咲いて
  ただ散って
  ゆくからいい

  ただになれない
  人間のわたし

(「こころの暦(ミニサイズ)ひとりしづか」相田みつを美術館)


●仙台四郎を通じて、素直な心、そして四郎の生きた明治という時代
 を考えることができました。深く考えさせてくれる一冊です!


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・戦いに負けた会津藩は豊かな会津盆地を取り上げられ、当時は人も
  住めるところではなかった青森の下北半島に、藩をあげて移住させ
  られた。(p133)


「福の神になった少年」丘修三、佼成出版社(1997/01)¥1,835
(評価:★★★★★)90点


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2004年08月24日

「失敗の本質」戸部良一、中央公論社(1991/08) :92点, 戸部良一 

失敗の本質―日本軍の組織論的研究
戸部 良一 寺本 義也 鎌田 伸一 杉之尾 孝生 村井 友秀 野中 郁次郎
中央公論社 (1991/08)
売り上げランキング: 176
おすすめ度の平均: 4.59
5 今、考えないといけないこと
5 今も昔も変わらぬ日本の組織
5 少なくとも、戦史として読む本ではない
(評価:★★★★★:絶対お薦めです!家宝となるでしょう。)92点


●この本は2つの楽しみ方があると思います。落胆するか、苦笑するかです。


●軍が役所と名前が変っただけで、日本の本質が変っていないことに、とてつ
 もない落胆と悲しさを感じました。それでも、この日本で生きていかなくては
 ならないのですから、しっかり対策を考えましょう。

 ・いかなる軍事上の作戦においても、そこには明確な戦略ないし作戦目的
  が存在しなければならない。目的のあいまいな作戦は、必ず失敗する。
  (p188)


●会社の戦略があいまいな場合が非常に多いですよね。やはり自分で会社
 の戦略を作るくらいの気持ちでいきたですね。

 ・個々の戦闘における「戦機まさに熟せり」、「決死任務を遂行し、聖旨
  に添うべし」、「天佑神助」、「神明の加護」、「能否を超越し国運を
  賭して断行すべし」などの抽象的かつ空文虚字の作文には、それらの
  言葉を具体的方法にまで詰めるという方法論がまったく見られない。
  (p202)


●これも日本の長期計画などを見ると、まさに「抽象的かつ空文虚字の作文」
 なんですよね。自分で書くならどう書くか、考えたいですね。

 ・(インパール作戦)六月上旬に河辺方面軍司令官は第十五軍の牟田口
  司令官を訪れた。両者とも作戦中止を不可避と考えたにもかかわらず、
  「中止」を口に出さなかった。牟田口は「私の顔色で察してもらいた
  かった」といい、河辺も牟田口が口に出さない以上、中止の命令を
  下さなかった。(p219)


●「オレの顔を見て分らなかったのか」と言っていた上司がいました。
 分らない私が悪いのか、言わない人が・・・・・。

 ・米国は艦型の種類を絞り同型艦をできるかぎり長期間設計変更しない
  で大量生産方式でつくることに力を注いだ。・・・他方、日本海軍
  では、・・・・・・まさに一品生産的なつくり方である。(p214)


●GEと三菱重工業を比べると、まさにこの通りですね。大量生産と
 一品改善主義。どちらがいいとはいえませんが、今のところ会社の
 利益率から見て前者がよさそうです。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・個人責任の不明確さは、評価をあいまいにし、評価のあいまいさは、
 組織学習を阻害し、論理よりも声の大きな者の突出を許容した。
 (p237)



「失敗の本質」
戸部良一、中央公論社(1991/08) ¥800
(評価:★★★★★:絶対お薦めです!家宝となるでしょう。)92点


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